1.学生への積極的な学習支援
本学図書館は前年度まで「利用者サービスの向上」を目標として、図書館利用教育やレファレンスサービスを実施してきました。平成20年度はこれをさらに一歩前進させるべく図書館活用の促進と学習支援を目標として、図書館そのものが本学学生に積極的に学習支援に関連したいと計画しました。そのための取り組みが利用者の視点に立った図書館ホームページのリニューアルでした。リニューアルを容易にしたのは国立情報学研究所が開発したNetCommonsでした。本学図書館のホームページはNetCommonsを活用して、学生や利用者の視点から今後も更なる改善を試みる予定です。
 
2.蔵書点検の毎年実施と極めて高い配架適正率
本学図書館は規程に従って、毎年、蔵書点検を行っています。図書館利用者が所蔵検索して探そうとしたら資料現物が実際に配架場所にないと、学習意欲に悪影響を与えます。蔵書点検は所蔵資料のバーコード読取を1点ずつ行うもので大変な作業ですが、本学学生アルバイトやインターンシップ学生を中心に実施しています。平成20年度から平成24年度の蔵書点検の結果は下表のとおりでした。本学図書館は入館者数や貸出冊数が多いにもかかわらず、紛失や配架誤りになっている所蔵資料は極めて少ないことが特徴です。

年 度

点検範囲

点検冊数(A)

適正データ冊数(B)

比率(B/A)

平成20年度

図書館1〜3階

62,036 冊

61,328 冊

98.9 %

平成21年度
実施を中止
 
  
平成22年度 データのみ点検   
平成23年度1・5階、書庫3層 
59,550 冊
59,535 冊
99.97 %
平成24年度 各教員の研究室
2,911 冊 
     2,903 冊  99.73 %
 
3.見計らい図書の導入
本学図書館は平成22年4月から見計らい図書の購入を開始しました。これは本学の学術分野に関連する新刊本を各書店から配本させ、図書現物を見ながら選書するものです。選書には教員だけでなく「学生選書ボランティア」も参加しています。

4.洋雑誌データベースの導入−雑誌経費高騰の対応策−
本学図書館は平成19年10月からEBSCO社データベースAcademic Search Elite(ASE)を契約し、ASEやCiNiiで全文閲覧できる雑誌冊子体を購入しない旨を図書館運営委員会で決議しました。これによって全文閲覧できる雑誌が約5,000タイトル(ASEとCiNiiの合計)を維持しながら、従来の洋雑誌冊子体の価格高騰による図書予算の逼迫を防ぎ、雑誌と図書の予算比率も厳格に守れるようになりました。
なお、ASE契約金額は通常価格の約50%引きになっています。
 
5.学生の卒業時未返却図書が7年連続でゼロ
本学図書館は各学科・科の教員と連携して図書延滞学生への督促や指導を徹底しています。その結果、卒業時に未返却のままになる学生は6年連続でゼロです。
 
6.本学研究紀要の電子媒体化と公開
本学図書館は国立情報学研究所事業によって平成7年度から平成19年度の研究紀要(第45巻)を電子媒体化し、同所サーバ内に保存して頂きました。本事業は同所が平成21年度から電子媒体化に要する経費負担が終了しました。また、本学では平成16年度に文化庁紹介講師による学内講演会を実施して、複製権・公衆送信権に関する教員の理解を深めました。そして、平成24年度から本学図書館は国立情報学研究所が開発した無償ソフトWEKOを活用して、本学研究紀要第46巻以降を本ホームページに掲載して公開しました。
 
7.インターンシップ学生の積極的受入れ
本学の開講授業科目に「インターンシッププログラム」があり、本学図書館は同プログラムで平成19年度に学生3名、平成20年度に学生2名、平成22年度に6名を受け入れました。本学で図書館司書や学校図書館司書教諭の資格取得を目標にしている学生に、図書館勤務希望者が多いようです。勤務時間合計は82〜84時間で、蔵書点検・書架整理・図書装備等々を体験して頂きました。利用者には見えない部分に多くの図書館の仕事があって勉強になったという印象が強いようです。
 
8.ホームページ運用による利用者サービスの向上と労力・経費の節減
本学図書館のホームページは国立情報学研究所が開発した無償ソフトNetCommonsを外部レンタルサーバにインストールして活用しております。NetCommonsは同所の説明の通りに「Wordとデジカメの技能だけで操作・設定できる」ものです。例えば、「図書館からのお知らせ」の掲載内容の更新に要する時間は2分程度です。また、ホームページ運用に要する経費は外部レンタルサーバと独自ドメインの年間使用料(合計9,600円)、業者によるNetCommons設定サポート(要相談)だけです。特に、本ホームページの「各種申請書」では従来の紙媒体の申込が学内外のネット端末やスマートフォン等の携帯から申込できるので、本学学生・教職員の利便性が向上しました。

9.文部科学省補助金を活用した館内設備の整備
九州女子大学では文部科学省の平成24年度私立大学教育研究活性化設備整備事業(テーマ:学生目線による図書館設備の充実とアクティブ・ラーニングの展開)へ申請して採択を受けました。この100%補助金によって本学図書館に、学生用机・椅子64席分、パソコン64台、プロジェクタ・スクリーン2組、小学校指導書(全学年・全教科)1式が整備されました。